桂院生室

桂院生室

工学研究科の大学院生ってなにやってんの?

監視のある一日(勉強監視しあうのいいよ!)

 2020/4/25(土)

 

コロナ休みで怠惰な生活を送る自分を戒めるため、

「研究モチベの低下に危機感を抱いている」ことを記事にした。

(怠惰な生活から切り替えようという心意気も込めて書いた。)

 

本日、その改善案として、

「友人とZoomで音声だけをつなぎ監視しあう」

という対策を実行した。

twitterで誘いに乗ってくれたその友人も、おそらく怠惰な生活からの脱却を求めていたのだろう、もしくは怠惰な私を救いにきてくれたのかもしれないが。)

 

 

結果:「非常に良い」

 

 

夕方17:00の時点ですでに昨日目標とした6時間の勉強時間が確保できていた。

(勉強時間:10:00~13:00,14:00~17:00)

ここ三週間の土曜日では考えられない勉強量である。

また、嬉しいことに授業の課題だけでなく、モチベのわきにくい論文探しや論文読みまで手が進んだのだ。

(これで研究班のミーティングで肩身の狭い思いをせずに済む!)

 

よかったことは勉強の進捗だけではない。

雑談はかなりいいリフレッシュになる。

コロナ休みで友人と雑談する機会がめっきり減っていたが、今日の監視勉強タイムはいい雑談の機会であった。

(雑談で判明したのだが、私も友人も、なぜか勉強どころかゲームのモチベすら湧かないという状態が共通していた。)

 

というわけで、勉強時に監視しあうのは

「勉強時間の確保」と「リフレッシュ」の2点で非常に良かった。

研究室に本来いる時間は、監視を習慣化してもいいかもしれない。

(モチベ湧かない人は試してみてもいいかも。)

 

それではまた。

 

コロナ休みのとある一日

2020/4/24(金)

 

コロナ休みで研究室に行くこともなく3週間が経った。

今、私は危機感を抱いている。

 

危機感1:就職氷河期に対する危機感。

危機感2:研究モチベ低下に対する危機感。

 

この二つである。

 

 

まず、就職氷河期に対する危機感について。

多くの2022年卒の学生も同じ危機感を抱いているのではないかと思うが、

このコロナによる経済の停滞で訪れるであろう不景気とそれに伴う就職難が怖い。

 

就職難易度だけで考えると、2020卒で学部卒の就活をすれば引く手数多の時代であったと考えると、大学院進学が裏目に出ている感じもする。

 

先日(4/23)に経団連会長の中西宏明さんが「第二の就職氷河期世代を作らない」として企業に柔軟な対応を取るよう呼びかけたという記事を読んだ。

インターンの立ち位置の見直しも行われるようだ。日本の就活形態も今まさに変遷期にあるのかもしれない。

一学生としてはできる限り情報を集めて、進路を冷静に選択しようというところだ。

 

個人的に興味のある航空宇宙関係の仕事は「不要ではないが不急である」といったところだろうか。コロナの影響を大きく受ける可能性もあり不安だ。

困った時代に生まれちまったなあ。

 

 

さて、次は研究モチベ低下に対する危機感について。

先ほども述べたが、ここ3週間全く研究室に行っていない。(行けない。)

卒論時のペースであれば、新たに工作した治具で試験片を作り、実験を行い、データを取って、解析と比較する、くらいの進捗を生めているのではないかと思う。

 

私の研究は、実験無しには始まらないタイプのもので、コロナの影響をモロに受けている。とはいえ何もしない訳にはいかないので、在宅で論文を読もうということになる。

この論文読みのモチベが湧かない。

これは論文選びがどうとかいうものではなく、在宅という環境が原因だと思う。

 

研究室であれば、研究室の仲間が各々研究に取り組んでおり、自分でどんどん研究を進めようとモチベが湧くのであるが、家だとそうはいかない。

理由はおそらく監視がないから、他の魅力的な怠惰な過ごし方があるから、であろう。

(コロナ期間の勉強仲間を募集したい。)

 

こういうわけでとりあえず戒めのために1日を振り返る。

10:00 起床、朝食

10:30 〜12:00 オンライン授業(録画)

12:00〜13:00 昼食

13:00〜14:30 オンライン授業(zoom)

14:30〜16:00 youtube(バラエティ系youtuberの動画)

16:00〜17:30 課題

17:30〜18:30 ゲーム(Lol

18:30〜19:30 夕食、ニュース

19:30〜22:30 ゲーム(Lol

22:30〜23:30 youtube(MTG開封動画、就職関係の動画)

23:30〜24:00 風呂など

 

起きてる時間:14時間

 必需行動時間:3時間

 勉強時間:4.5時間

 ぐうたら時間:6.5時間

 

あー、怠惰やなあ。

 

研究室に行けば最低でも6時間(10:00-17:00)は勉強しているので、在宅での勉強モチベの低さが際立つ。(ゲームしすぎかも)

 

改善点としては、ぐうたら時間の中から運動時間を0.5時間は確保したいのと勉強時間を追加で1.5時間は取りたい。

 

それではまた。

京機会工場見学 【YAMAHA・YAMAHA発動機】


2019/9/24

 

京機会工場見学2日目

安城荘で朝食を食べ、二日目がスタートした。

 

最初に向かったのは「YAMAHA」である。

音楽のほうの「YAMAHA」だ。

見学した本社は静岡県浜松市にあった。

 

到着後まず目に入ったのは、横断歩道であった。

いきなり音楽に携わる企業らしさを感じた。

 

f:id:evolveinspace:20191010103331p:plain

YAMAHA社内の横断歩道


 

見学の流れは、

概要説明 → ミュージアム → 無響室 → 残響室 → レコーディングスタジオ

の順であった。

 (無響室、残響室、レコーディングスタジオは普段非公開らしい。)

 

 

 

概要説明では、バイクのほうの「YAMAHA発動機」は楽器のほうの「YAMAHA」から独立した会社であるという話があった。

戦時のプロペラ作りの技術をバイクに転用したそうだ。

(戦時は楽器メーカーも防衛関係の部品を作っていたということに驚いた。)

 

また、「YAMAHA」は創業者の山葉寅楠氏からきていると知った。

 山葉氏はオルガンの修理経験からオルガン作りをはじめ、その後ピアノ作りなどを手掛けたそうだ。

 

社のコンセプトは

「人間必需品を音の技術で実現する」

ことだと紹介された。

 

人間必需品とは生活に必要な生活必需品ではないものの、

「人間らしく豊かな生活を送るのに必要なもの」と定義されている。

 

 

 

そこからミュージアムに向かった。

ミュージアムには今までに製品となった楽器がずらりと並べられていた。

 

入り口付近には、ウィーンの至宝と呼ばれるベーゼンドルファー・ピアノが誰でも弾ける状態で展示されていた。

他にもピアノ部品の仕組みや木の材質の違いを体験できるコーナーや指向性スピーカーによるミュージックゾーンなどがあった。

 

続いてスーパーサラウンドシアターという場所で音響映像作品を見た。

このスーパーサラウンドシアターはYAMAHAが世界に誇る立体音響技術ViRealによる108.6chのシアターで、圧倒的な音の臨場感を楽しむことができた。

 ミュージアムではヤマハの歴史や技術の一端に触れることができた。

 

(見学中にこのピアノで様々なアニソンをひたすら弾いている人がおり、良いBGMであった。)

 

 

 

 次に見学したのは「無響室」であった。

無響室とはその名の通り「音が響かない部屋」である。

音の反響がを限りなく減らすことでスピーカーの性能などを正確に測定できるということであった。

 

中に入るとまさに音が吸い取られるような感覚であった。

発した声や拍手の音などもすべて消え去ってしまうこの空間はまるで宇宙空間のようであった。

(宇宙空間を体験したことはまだないが。)

 

無響室の中は前後上下左右の6面が多数のクッション性の「とげとげ」で覆われており、この「とげとげ」が音の反射を最小限に抑える役割を担っているようだった。

(入り口の裏にも「とげとげ」が用意されておりぬかりがなかった。)

 

 

 

続いて「残響室」を見学した。

残響室もまたその名の通り「音の響きが残る部屋」である。

残響室は物がどれだけ音を吸収するかを測定するのに用いられるということであった。

(主にミュージカルホールの椅子の吸音が検査対象になるらしい。)

 

 残響室の中はやまびこが鳴りやまない場所であった。

自分の発した言葉が5,6回は復唱されるのだ。

どうやら低い音ほど長く残響するようで、高い声はあまり残響しなかった。

 

残響室はコンクリート製の閉ざされた塔のような部屋で高さは7mほどであった。

内部形状が残響には非常に大事らしくどの面も平行でない7面体であった。

平行な面を作らないことで反射波との打ち消しあいを発生させないようにしているということだった。

 

 

 

最後に向かったのはレコーディングスタジオであった。

 (アイドルが歌っているかと期待したが無人であった。)

 レコーディングスタジオは楽器などの音の確認を行う場所で、人の感性によっていい音か否かを判断しているとの話だった。

 

スタジオの壁面と天井は木製で、音を程よく反射するよう凹凸が不規則に並んでいた。

部屋にはからくりが仕込まれており、壁面を裏返すとクッション性の面が用意されていた。

これはレコーディング時の音の反射具合(反射と吸音の兼ね合い)を調整するための工夫ということであった。

 

こうして音楽のほうの「YAMAHA」の工場見学を終えた。

 

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そのままバスで移動し、「YAMAHA発動機」へと向かった。

バイクのほうのヤマハだ。

 

見学したのは静岡県磐田市YAMAHA発動機モーターサイクル組立工場であった。

(実はジュビロ磐田YAMAHA発動機サッカー部が前身である。)

到着後、社員の方々と昼食(うな重)を頂いた。

(食堂からは窓の外にヤマハスタジアムが見えた。)

 

工場見学の流れは、

概要説明 → 組立工場 → ミュージアム

の三本立てであった。

 

 

概要説明では、先ほども述べたように「YAMAHA発動機」は「YAMAHA」のバイク部門が独立した会社であるという話から始まった。

かつてはYAMAHAの一部門であったが、いまや音楽の「YAMAHA」の3,4倍の規模となり大躍進を遂げている。

 

規模に関しては、

YAMAHA

 資本金 : 280億円

 売上高 : 4300億円

 従業員 : 2万人

 

YAMAHA発動機は

 資本金 : 860億円

 売上高 : 1兆6700億円

 従業員 : 5万人

 

といったところだ。

 

 

小ネタとして、YAMAHAYAMAHA発動機のロゴの違いの話があった。

ヤマハのロゴは三つの音叉、ヤマハ発動機は音叉マークをホイールに見立てたもののようだ。(上がYAMAHA発動機)

 

 

 「ヤマハ発動機 ロゴ」の画像検索結果

 

概要説明を終え、組立工場の見学に向かった。

組立は主に人の手で行われていたのが印象的であった。

バイクの車種が多く、またカスタマイズが多様で機械化がコストに見合わないとの説明があった。

(今回の工場見学で最も多くの作業員がいた工場であった。)

 

組立ラインとして、エンジン組立て→車両組立→走行検査の流れであった。

 

それぞれのラインで様々な種類のバイクの組立が行われていた。

(いかついバイクが多かった。)

 

最後にミュージアムに向かった。

ミュージアムでは歴代のバイクやボート、カートなどがずらりと並べられており迫力があった。

(日頃見かけることのない海外向けのデカい四輪バギーや前輪が二個ある近未来的なデザインのバイクの展示が特に印象に残った。)

 

 

こうして、YAMAHAYAMAHA発動機の工場見学を終えた。

 

それではまた。

 

京機会工場見学【デンソー② 】〜量子コンピュータ編〜

2019/9/23

京機会工場見学デンソー編後半。

 

デンソー高棚製作所を後にし、初日の宿であるデンソー安城荘に向かった。

 

 安城荘に到着後、技術講演会のため研修ホールに向かった。

工場見学のしおりには技術講演会とのみ記されており、内容は知らされていなかった。

 さて、どんなテーマであろうか。

 

量子コンピュータが変える未来

 

どうやら量子コンピュータに関する講演のようだ。

(工学部生にはなかなか受けが良さそうなテーマだ。)

講演者は寺部雅能(てらべまさよし)氏という方で、30代の若い男性であった。

(教授のような年配の技術者の方が出てくるのかなと思っていた。)

 

 

さて、講演の内容に関して記そうと思う。

内容は大きく4つに分けられる。

 

  1:自己紹介

  2:量子コンピュータとは?

  3:自動車業界が迎える変革期

  4:量子コンピュータの挑戦

 

先に講演の結論を述べておくと、

量子コンピュータはもう使える。

量子コンピュータをどう商用に利用するか考え中。

工学部生はもっと市場を見ろ!

といった内容であった。

 

詳しい内容に移ろう。

 まず、寺部氏の自己紹介から始まった。

寺部氏はデンソーのエレクトロニクス研究部に所属している方で、モビリティ社会の変革を目標に、量子コンピュータ事業を手がけているとのことだった。

(学生時代に63カ国をバックパッカーで渡り歩いた経験を持つ猛者で、モビリティ社会にとどまらず世界中を変革したいという熱意に満ち溢れていた。)

 

自己紹介の中で最も印象に残った話は、世界の変革に向けたプロセスであった。

寺部氏曰く、世界の変革には

 

 情熱 → 必然性 → 戦略 → 世界の変革

 

というプロセスを踏む必要があるようだ。

 

ここでの必然性に関する話が印象的であった。

氏曰く、必然性には2種類あるとのことであった。

 ①業務の必然性

 ②自分であることの必然性

 

②の「自分であることの必然性」という言葉が胸に響いた。

(仮に自分が宇宙に行く際に、自分であることの必然性はあるのか。)

 

氏は量子コンピュータ事業に取り組むのが「自分しかいない!」と認められるよう、技術分野だけでなく経済分野に関しても深く勉強したそうだ。

 

自己紹介は「技術以外に市場に結びつける力も必要」の言葉で締めくくられた。

 

 

次に量子コンピュータに関する説明がなされた。

量子コンピュータの計算速度は理論上、スパコンの9000兆倍も可能らしい。

量子コンピュータの計算速度が速い理由は

 ・・・・・難しい。

(調べれば調べるほど難しい。)

 

とりあえずの理解は

通常のコンピュータが「0」、「1」で書くもの(単位はbit)を

量子コンピュータなら「0、1の重ね合わせ」で書ける(単位はqbit)。

よって、2^n(bit)の情報をn(qbit)で伝えられるようになるから嬉しい!

(情報が軽くなって計算速度が上がる。)

といったものだろうか。

(もつれに関してイマイチ説明できない。)

 

 話を戻そう。

実は量子コンピュータはすでにD-wave社(カナダ)から販売されている。

大きさは3m四方と大きく、中身はほとんどが半導体を冷やすための冷却装置だそうだ。

(1台17億円らしい。)

 

実際に量子コンピュータは動くし使えるのだ。

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D-wave 2000Q

 

 

続いて、自動車業界が迎える変革期についてのお話があった。

 今、自動車業界は「100年に一度」といわれる変革期を迎えている。

この大変革は変革の要因の頭文字をとって「CASE」と呼ばれている。

 

Connected            :車がネットワークにつながる。(車のIoT端末化)

Autonomuos          :自動運転

Share & Services  :カーシェア(モノの販売→サービスの販売)

Electric                  :電気自動車(エンジン→モーター)

 

寺部氏が強く主張したのは "Share & Services"  の変革についてであった。

他の3つの "Connected" , "Autonomuos" , "Electric" は技術の変革であるが、

 "Share & Services" は市場の変革であり、毛色が異なる。

 

技術的な変革と市場の変革の最大の違いは、

技術の変革が「1→10」の変化であるのに対し、

市場の変革は  「0→1」

の変化であるということであった。

 

 要するに

世界を変えるには市場の変革を行ったほうが手っ取り早い

という感じだ。

 

 

自動車業界における市場の変革は、

車という「モノ」の販売から車による「サービス」の販売への変革を指す。

この変革を「MaaS」(Mobility as a Service)という言葉で言い表すことがある。

カーシェアリングや移動の最適化といったサービスが自動車を購入し保有する必要性を薄めていきそうだ。

 

※MaaSについては下記を参考に、

https://www.mlit.go.jp/pri/kikanshi/pdf/2018/69_1.pdf (引用:国土交通省

 

寺部氏は市場の変革により生じるであろう莫大な市場に目を向けているようだった。

 

 

最後に量子コンピュータの挑戦についてであった。

一言でいうと、この動画を見た。


Quantum Technology for Mobility IoT / 量子コンピュータが拓く新たなモビリティIoT

 

 

質疑応答では、現行の量子コンピュータの改善したい点の質問があった。

これに対し、

「今はうまく使えるqbitが50qbitほどだが、これを2000qbitまでつなげたい。しかし、構造上中々難しい。」

という回答であった。

 

技術講演会はこうして幕を閉じた。

 

 

結論を再び述べておく。

量子コンピュータはもう使える。

量子コンピュータをどう商用に利用するか考え中。

工学部生はもっと市場を見ろ!

といった感じだ。

 

 

一応寺部さんの著書を載せておく。

(僕はまだ読んでません。)

 

 

 

それではまた。

 

 

 

京機会工場見学【デンソー①】

2019/9/23

 

工場見学2つ目の企業は

デンソー(高棚製作所)

であった。

 

工場見学の流れは

会社概要説明 → キラキラ通り → GSP1&GSP2組立工場 →F-IoTルーム → 製品紹介 → GSP2の凄さを伝えるビデオ → 技能研修センター

という感じであった。

 

ここで出てきたGSPとはGlobalSafetyPackageのことで、画像センサやミリ波レーダーを用いて自転車や夜間歩行者などを認識し交通事故を起こさないようにする装置を指す。

 

まず会社概要説明についてだ。

 

デンソートヨタの自動車部品部門が独立した自動車部品メーカーである。

世界中の自動車メーカーに製品やシステムを提供しており、日本ではトップのシェアを誇る。世界でもロバートボッシュ(ドイツ)、コンチネンタル(ドイツ)に次ぎ3位の売上高と、相当な規模である。

 

規模に関しては

 資本金 : 1900億円

 売上高 : 5兆4000億円  (連結)

 従業員 : 17万人    (連結)

といったところだ。

拠点は世界中にあった。

 

また、説明によるとデンソーQRコードを発明した会社らしい。

( 恥ずかしながら、見学前はデンソーについて自動車部品メーカーであることくらいしか知らなかった。)

 高棚工場では主に自動運転に関する装置を製作しているということだった。

 

概要説明はこんなところだ。

 

*工場に入る前に、クリーンウェアをはおり、スマホやシャーペンを持ち込まないよう指示された。静電気除去やほこりの除去を行い、工場に入った。(厳密だ。)

 

 

最初に案内されたのは、キラキラ通りであった。

キラキラ通りでは優れた社員の掲示や、3S(整理・整頓・清掃)の喚起などがあった。

その他にもQCサークル(quality control)の活動報告などがあり、品質に影響する問題をとあるアイデアで解決した例が貼りだされていた。

日銀総裁の黒田氏が訪問した際の写真もあった。)

 

キラキラ通りは社員のモチベーション向上につながるエリアということだ。

 

 

次に向かったのは、GSP1,2の組付けラインであった。

先にも述べたがGSPとは ”GlobalSafetyPackage” のことで、画像センサやミリ波レーダーを用いて自転車や夜間歩行者などを認識し交通事故を起こさないようにする装置のことである。

GSPのあとにつく数字(1,2)は自動運転のレベルに相当するようだ。

自動運転のレベルは下記を参考にしてほしい。

http://www.mlit.go.jp/common/001226541.pdf  (引用:国土交通省

 

GSP1,2の違いをまとめた。

 GSP1は、運転支援の装置である。

 (自動ブレーキや前の車の追従、車線からはみ出ない機能)

 GSP2は、特定条件下での自動運転の装置である。

 (遅い車の追い越しや車線変更を自動で行う機能)

 

組付け工場には基盤を作る機械がずらりと整列しており、高速で動いていた。

1つの機械あたり、1秒間に10パーツもを組み付けるらしい。(とにかく速い。)

周囲は基盤の独特な香りがした。

 

また、GSP1,2は製造方法も進化しており、GSP1の製造の際は一部が人の手によるカンコツ(勘骨)による組付けであったが、GSP2は完全に機械化して組付けを行っているとのことだった。

GSP2の組立にはヤマハ発動機社製のリニアコンベアとKeyence社製の位置合わせセンサが用いられていた。

GSP2の不良品率は0.05%ほどらしい。

 

 

次に向かったのは、F-IoTルームという涼しい小部屋だった。

5,6台の大型ディスプレイに製造機の一部の稼働状況が表示されていた。

まだIoT化は完全ではなく、今は全機械のうち30%の稼働状況しかわからないとのことだった。

ここで工場内の見学を一度終え、クリーンウェアをぬいだ。

 

 

製品紹介では、GSP1、GSP2の完成品をサラッと紹介された。

 

 

その後GSP2の紹介映像(凄さを伝えるビデオ)を見た。

センサーとミリ波レーダーの凄い点をそれぞれ挙げると

 

センサー

 画像処理によって道路標識の識別ができる。

 明暗差の判別によって白線の識別ができる。

ミリ波レーダー

 移動速度の違いから歩行者と自動車を識別できる。

 

といった感じであった。

 

会場質問で、デンソーは世界で戦えるか?という質問があった

回答は、ヨーロッパのほうが強いといったものだった。

 

ここでいったん工場を出た。

 

 

次に向かったのは技能研修センターという学校のような場所であった。

ここでは2年に1度開かれる技能オリンピックに向けて職人の方々が腕を磨いているという話であった。

2019年に開かれた第45回技能五輪国際大会において、産業機械組立てという種目でデンソー社の坂元裕二郎氏が金メダルを獲得したということで記念のメダルが飾られていた。

(この時点では技能オリンピックの凄さがいまいちピンと来ていなかった。)

 

研修センターの二階にあがると、そこでは僕と同年代くらいの20代前半と思われる若者達が集中してそれぞれの作業をしていた。

彼らは中学、高校を卒業したのちに研修センターに進学した方々のようでそれぞれの机には、出身中学、高校が記されていた。

ある人は何かの複雑そうな配線をしており、またある人は高速でCAD図面を書いていた。

(同年代の人が圧倒的な集中力、速度でもって作業をしており気圧された。特にCAD図面を書いていた人の作業が、以前自分が授業で取り組んだ時とは比べ物にならないほど手際が良く印象的であった。)

 

ものづくりの第一線で活躍する職人たちはこうして生まれるのであろう。

 

工場見学に参加したほかのメンバーにとっても研修センターで同年代の若者が高速かつ正確にものを作る姿が印象的だったようだった。

 

デンソーの工場見学はこんな感じであった。

 

次回はデンソーの寺部雅能(てらべまさよし)氏による技術講演

量子コンピュータが変える未来」に関して記そうと思う。

 

 

それではまた。

 

 

京機会工場見学 【DMG森精機】

2019/9/23

 

工場見学最初の企業は

DMG森精機(伊賀工場)

であった。(昨年に続き二回目)

 

DMG森精機といえば、「第42回鳥人間コンテスト2019」で、ルール上最長記録の60kmという前人未到の新記録で優勝を果たした、

「BIRDMAN HOUSE 伊賀 」が所属する会社である。

 

DMG森精機は世界レベルの工作機械メーカーというだけあり、

機体性能は群を抜いていたのではないかと思う。

パイロットの渡邊悠太さんもDMG森精機の社員の方で、今は実験部設計支援解析グループに所属しておられるということだ。

鳥人間コンテストに関するリンクを貼っておく。

https://www.dmgmori.co.jp/trend/detail/birdman2019.html

 

 

さて工場見学に関して

 

会社概要説明 → 組立工場見学 → 主軸工場見学 → 鋳造工場見学 → 展示室 → 質疑応答

このような流れであった。

 

まず会社概要説明だ。

去年と同じ恰幅の良い社員の方による説明であった。

 

 先ほども述べたが、DMG森精機は工作機械メーカーである。

工作機械とは「機械を作るための機械」のことで、旋盤やマシニングセンタなどを指す。

(工作機械は景気の影響を受けやすく、昨年までは売り上げが順調に伸びていたが今年からは停滞気味らしい。)

 

規模に関しては

 資本金  : 500億円

 売上高  : 5000億円

 従業員数 : 1万3000人

といったところだ。

また、売り上げの8割は海外らしい。

 (詳しくはHPに掲載されているので割愛する。)

 

概要説明はこんなところだ。

 

 

組立工場の話に移ろう。

組立工場では当然ながら工作機械の組立が行われていた。

工場の壁面に資格の取得状況が貼りだされており、

資格の数次第では月給に最大8万円ほど追加されるということであった。

(月給8万の差はでかいな。)

 

昨年よりも急ぎ足で説明され「すり合わせ体験」のブースはすっ飛ばされた。

(昨年のすり合わせ体験では「職人による手作業の表面加工で摩擦が滑らかに!」といったことが体験できた。)

 

 

組立工場のついでにマグネスケールの生産加工現場を訪問した。

マグネスケールとは磁気を利用した正確な定規のようなものだ。

magnet(磁石)+scale(尺度)による造語だと思われる。

 仕組みは磁気テープと似ているようだった。

 

僕の理解では

磁極の向きを揃えた磁性粉を塗布し、その上を電磁石が移動する際に磁性粉を反転させ移動距離を記録する。

という感じである。

 

とにかく、正確な長さの測定は工作機械には必要不可欠なのだ。

 

 

次に向かったのは 、主軸工場であった。

主軸工場の付近はとにかく悪臭がひどかった。

堆肥の臭いと言ったところだろうか。なかなかの不快感があった。

(後から聞くと付近に養鶏場があるとのことだった。調べると、鶏は牛や豚よりも臭いがきついらしい。)

 

主軸で最も大事なのは、軸が偏心していないことである。

軸の回転中心がずれていては正確な加工など到底不可能である。

 

主軸工場では偏心を3μm以内に抑えたものを製品としているらしい。

(もしかすると0.3μm、0.03μmだったかも。メモを忘れるほどの激臭であった。)

 

 

最後に向かったのは、鋳造工場だ。

(鋳造工場はキノコの臭いがした。)

鋳造後の加工には東芝社製の5面加工機が用いられていた。

(そこはDMG社製じゃないのね。)

5面加工機は名前の通り底面以外の5面を加工する機械である。

話によると、底面の精度は1個前の工程の精度のままとのこと。

 

 それぞれの工場ではいわゆるIoT化が進められていた。

(伊賀工場での各機械の稼働状態が一目でわかるようになっていた。

また、他の工場での進捗情報にもすぐアクセスできるようだ。)

 

展示室にはDMG社製の加工機が並んでおり、どういった物の加工に用いられるかが説明されていた。

(今は五軸加工機がウリらしい。)

 

一通りの見学を終え、概要説明のあった部屋に戻るとホットココアが用意されていた。

(学生ながらにプチVIP待遇を楽しめた。)

 

質疑応答では、主軸工場での悪臭に関して質問した。

最近養鶏場の悪臭対策に消臭マシン(養鶏場の匂いをチョコレートの香りにする機械)を導入したらしい。

 

その後、社員の方々と昼食を取った。

(伊賀は自動車でのアクセスに限られてしまい、大阪や名古屋での飲み会後に帰宅するのが大変なようだ。)

 

DMG森精機の工場見学はこんな感じであった。

 

それではまた。

 

 

 

京機会工場見学【コスパいいよ】

2019/9/23

 

京機会(京都大学機械系同窓会)のイベントで、

中部・関東地方の工場見学に参加した。

 

三日間かけて

DMG森精機DENSOYAMAHAYAMAHA発動機、IHI日産自動車

の6社を見学した。

 

 

参加費用は10500円であった。破格だ

補助金(京機会+企業)によりかなりの額が賄われている。

ありがたい。

宿泊費や移動費、懇親会の費用などを考えてみた。

 

宿泊費(約10000円)

DENSO安城荘(1泊):3200円

ナビオス横浜(1泊):6480円

 

移動費(約13000円)

貸切バス:2500円くらい?(一人当たり)

新幹線: 3050円 (三河安城~浜松)

     7340円 (掛川~品川)

 

懇親会費用(約11000円)

懐石フルコース(@安城荘):5000円

朝食     (@安城荘):800円

立食ブッフェ(@IHI本社最上階):5000円

 

 

補助金で賄われた額を計算してみる。

 

実費用

=宿泊費+移動費+懇親会費用

=10000+13000+11000

=34000

 

実費用-参加費用

=34000-10500

=23500

 

参加生徒一人当たり約25000円もの補助金が出ていた。

ありがとうございます!

 

工場見学に参加した生徒は約20人(B2~M2)であった。

25000×20=50万円

その他にも各社展示ブースの案内に関して入場料などがかかっていると思われる。

一回の工場見学での補助金は約60~70万円といったところであろうか。

 

金銭的な意味でも京大機械系の方には是非とも工場見学に参加することをお勧めする

(一回生のときに京機会の年会費を5000円払ったが余裕で元が取れた。)

 

 

※追記

安城荘での懐石料理は非常に美味しかった。

企業のお偉いさんは毎日こんなご飯なのかと尋ねたがそうではないらしい。

就寝前に用意周到な友人が持参したNintendo Switchスマブラspをプレイした。

 

IHI本社最上階(25階)での立食ビュッフェは夜景が素晴らしかった。

隣に社長室もあり高級感があった。

京機会のOBの方々が会社紹介を行っていた。

(10社ほど)

(一応リクルーティングではないという建前だが裏就活ルート感もあった)

 

ナビオス横浜は近くに赤レンガ倉庫、コスモクロック(観覧車)と港を楽しめた。

夜景も素晴らしく満足であった。

先輩の案内で赤レンガ倉庫内のmotionblueというフレンチ系ライブレストランに向かったが後の祭りであった。

 

 

京大の物理工学科機械システム学コースに進学した人は、

ぜひ一度工場見学に参加することをお勧めする

 

各工場で勉強したこともまた記事にしていきます。

 

それではまた。