桂院生室

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工学研究科の大学院生ってなにやってんの?

京機会工場見学【デンソー①】

2019/9/23

 

工場見学2つ目の企業は

デンソー(高棚製作所)

であった。

 

工場見学の流れは

会社概要説明 → キラキラ通り → GSP1&GSP2組立工場 →F-IoTルーム → 製品紹介 → GSP2の凄さを伝えるビデオ → 技能研修センター

という感じであった。

 

ここで出てきたGSPとはGlobalSafetyPackageのことで、画像センサやミリ波レーダーを用いて自転車や夜間歩行者などを認識し交通事故を起こさないようにする装置を指す。

 

まず会社概要説明についてだ。

 

デンソートヨタの自動車部品部門が独立した自動車部品メーカーである。

世界中の自動車メーカーに製品やシステムを提供しており、日本ではトップのシェアを誇る。世界でもロバートボッシュ(ドイツ)、コンチネンタル(ドイツ)に次ぎ3位の売上高と、相当な規模である。

 

規模に関しては

 資本金 : 1900億円

 売上高 : 5兆4000億円  (連結)

 従業員 : 17万人    (連結)

といったところだ。

拠点は世界中にあった。

 

また、説明によるとデンソーQRコードを発明した会社らしい。

( 恥ずかしながら、見学前はデンソーについて自動車部品メーカーであることくらいしか知らなかった。)

 高棚工場では主に自動運転に関する装置を製作しているということだった。

 

概要説明はこんなところだ。

 

*工場に入る前に、クリーンウェアをはおり、スマホやシャーペンを持ち込まないよう指示された。静電気除去やほこりの除去を行い、工場に入った。(厳密だ。)

 

 

最初に案内されたのは、キラキラ通りであった。

キラキラ通りでは優れた社員の掲示や、3S(整理・整頓・清掃)の喚起などがあった。

その他にもQCサークル(quality control)の活動報告などがあり、品質に影響する問題をとあるアイデアで解決した例が貼りだされていた。

日銀総裁の黒田氏が訪問した際の写真もあった。)

 

キラキラ通りは社員のモチベーション向上につながるエリアということだ。

 

 

次に向かったのは、GSP1,2の組付けラインであった。

先にも述べたがGSPとは ”GlobalSafetyPackage” のことで、画像センサやミリ波レーダーを用いて自転車や夜間歩行者などを認識し交通事故を起こさないようにする装置のことである。

GSPのあとにつく数字(1,2)は自動運転のレベルに相当するようだ。

自動運転のレベルは下記を参考にしてほしい。

http://www.mlit.go.jp/common/001226541.pdf  (引用:国土交通省

 

GSP1,2の違いをまとめた。

 GSP1は、運転支援の装置である。

 (自動ブレーキや前の車の追従、車線からはみ出ない機能)

 GSP2は、特定条件下での自動運転の装置である。

 (遅い車の追い越しや車線変更を自動で行う機能)

 

組付け工場には基盤を作る機械がずらりと整列しており、高速で動いていた。

1つの機械あたり、1秒間に10パーツもを組み付けるらしい。(とにかく速い。)

周囲は基盤の独特な香りがした。

 

また、GSP1,2は製造方法も進化しており、GSP1の製造の際は一部が人の手によるカンコツ(勘骨)による組付けであったが、GSP2は完全に機械化して組付けを行っているとのことだった。

GSP2の組立にはヤマハ発動機社製のリニアコンベアとKeyence社製の位置合わせセンサが用いられていた。

GSP2の不良品率は0.05%ほどらしい。

 

 

次に向かったのは、F-IoTルームという涼しい小部屋だった。

5,6台の大型ディスプレイに製造機の一部の稼働状況が表示されていた。

まだIoT化は完全ではなく、今は全機械のうち30%の稼働状況しかわからないとのことだった。

ここで工場内の見学を一度終え、クリーンウェアをぬいだ。

 

 

製品紹介では、GSP1、GSP2の完成品をサラッと紹介された。

 

 

その後GSP2の紹介映像(凄さを伝えるビデオ)を見た。

センサーとミリ波レーダーの凄い点をそれぞれ挙げると

 

センサー

 画像処理によって道路標識の識別ができる。

 明暗差の判別によって白線の識別ができる。

ミリ波レーダー

 移動速度の違いから歩行者と自動車を識別できる。

 

といった感じであった。

 

会場質問で、デンソーは世界で戦えるか?という質問があった

回答は、ヨーロッパのほうが強いといったものだった。

 

ここでいったん工場を出た。

 

 

次に向かったのは技能研修センターという学校のような場所であった。

ここでは2年に1度開かれる技能オリンピックに向けて職人の方々が腕を磨いているという話であった。

2019年に開かれた第45回技能五輪国際大会において、産業機械組立てという種目でデンソー社の坂元裕二郎氏が金メダルを獲得したということで記念のメダルが飾られていた。

(この時点では技能オリンピックの凄さがいまいちピンと来ていなかった。)

 

研修センターの二階にあがると、そこでは僕と同年代くらいの20代前半と思われる若者達が集中してそれぞれの作業をしていた。

彼らは中学、高校を卒業したのちに研修センターに進学した方々のようでそれぞれの机には、出身中学、高校が記されていた。

ある人は何かの複雑そうな配線をしており、またある人は高速でCAD図面を書いていた。

(同年代の人が圧倒的な集中力、速度でもって作業をしており気圧された。特にCAD図面を書いていた人の作業が、以前自分が授業で取り組んだ時とは比べ物にならないほど手際が良く印象的であった。)

 

ものづくりの第一線で活躍する職人たちはこうして生まれるのであろう。

 

工場見学に参加したほかのメンバーにとっても研修センターで同年代の若者が高速かつ正確にものを作る姿が印象的だったようだった。

 

デンソーの工場見学はこんな感じであった。

 

次回はデンソーの寺部雅能(てらべまさよし)氏による技術講演

量子コンピュータが変える未来」に関して記そうと思う。

 

 

それではまた。